ゼピロスの降りた島

 

インターネットで「与島」を検索してみると、8000件あまりも出てくる。しかし、そのほとんどは、展望台、ショッピング、レストランの観光施設を持つパーキングエリアの案内である。島の石切り場や集落などの情報は、ないに等しい。瀬戸大橋はこの島の住民にとって何であったのか。皮肉なことに、夢の架け橋による環瀬戸内時代到来と期待して「ゼピロス」を刊行した山陽新聞社が、2002年(平成14年)に15年目の現実として与島の今日を特集した。以下少しばかりの他の情報も交えながらそれを紹介する。

071

島の中央にインターチェンジがあって、空から舞い降りてくる感じだ。降りるとそこは観光施設で、車で直接生活区域には入れない仕組みになっている。島をめぐるには、歩くしかない。周囲4キロあまりの小さな島だが、それでもゆっくり散策すれば1時間以上かかる。インターを降りたすぐそばには、ゲートボール用に作られたと思われる広場があり、片隅にプレハブ小屋が建っていた。どこも使っている様子はなく、雑草がびっしりと生い茂っていて、荒れ放題だ。

トップ 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15