ゼピロスの降りた島

 

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ゼピロスは確かに降りたが、果たして西風は吹いたのだろうか。その痕跡を見つけることは難しかったような気がする。現代に降臨したゼピロスは、もう西風を吹かせるだけの力を持ってなかったのではないか。与島を1周して、井上靖の「落魄」という詩で1日が暮れる。「しっぽに旗を立てて故里に帰った。故里は白い砂塵の中に暮れかけていた。」

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