なくてはならない店

玉島の爪崎や八島北川には、食料品やちょっとした日用雑貨などを売るちいさな店が何軒かある。スーパーやコンビニ全盛の時代となり、あちこちの町や商店街にあったこの種の店は次々と廃業した。しかし、地域にとってなくてはならない店があり、それは今でも残っている。倉敷市の他の地域でも、状況はそれぞれ異なるかも知れないが、同じ理由で残っている店はまだあると思われる。爪崎や北川の場合は、古くからある地域で、先祖からお互い屋号で呼ぶ間柄を大切にし、集落の連帯感や土地に対する愛着心が強い。当然ここを離れたくない人がいるわけで、うち高齢者や車に乗れない人にとって、歩いて行ける気心の知れた店は、日常生活にはなくてはならないものである。家族や家の中のことまで良く知っていて、ツケがきいて、行けないときや、行けない人には、電話一本で何でも届けてくれる。買物に来る人は決まっていて、お互いがみんな顔見知り会話もはずんで情報収集・情報発信の場ともなる。

爪崎に一軒だけある店。店には看板がないが、何の問題もない。最近は、食料品や酒など商品の数は減ったが、それでも近所の人は、大変助かっている。ここがないと、かなりの人が、たちまち食料に困ってしまう。うちの爺さんなど、電話一本で枕元まで、酒一升とおかずを持ってきてもらっていた。今は、その息子である父が、やはり同じことをやっている。この店には、どこから仕入れるのか、スーパーやコンビニにない、美味しいお菓子がたくさんある。

八島北川にある店。食料品以外にも洗剤・仏具・招き猫まで日常使う物をたくさん揃えている。ちょっとした、ミニスーパーのような感じだ。遠いところまで買いに行けない人にとって、なくてはならない店となっている。やはり、電話一本で配達もしてくれる。果物の産地だけあって、桃をはじめ旬の果物を売っており、地方発送もしている。宅急便の取次所にもなっている。

 

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