河道樹林

-小田川・高梁川-

最近は、天候がすっかり変わってしまって、全国あちこちで、今まで考えられなかったような豪雨が降る。晴れの国倉敷といえども、その例外ではないと思う。今まで運が良かっただけと考えておくべきだろう。豪雨は河川の決壊・氾濫により洪水を起こす。倉敷には高梁川やその支流の小田川(真備町)があり、かつて何度も洪水を起こしている。これらの川で、今問題なのは、その河原や中洲に繁るおびただしい樹林だ。大量の水や上流から流れてきたゴミなどの圧力で、河道の木は抜け易く、橋脚などにひっかかって洪水を起こすことが知られている。東北大震災以来、津波被害のことばかりに頭がいっている昨今であるが、この倉敷では、津波より洪水の方を先に心配すべきではないのか。歴史が語っていること、最近は雨の降り方がおかしいこと、まず事実に目を向けなくてはならない。

小田川の真備町二万橋。真備町一帯の下流域、中洲を中心に河道に大きな樹林が繁り、樹高が土手を越えるものが多くみられる。小田川の源は広島県神石高原で、福山市を経て、岡山県井原市に入り、倉敷市では真備町を流れ、酒津で高梁川本流と合流する。福山北部から井原あたりのどこで豪雨があっても、水量が一気に増し、洪水の危険性がある。川が天井川となっていることや勾配がゆるく流れが留まりやすいことが、そのリスクをさらに高める。現に、明治26年と昭和51年に、高梁川との合流点上一帯(川辺より川上)に洪水を起こしている。特に明治の洪水は想像を絶する規模で、甚大な被害があった。

高梁川の船穂橋上流あたり。このあたりから水江にかけての樹林は最近伐採された。しかし、また、中洲などには繁っているところが多く見られる。伐採は樹木を無料供与するということで、民間にゆだねられたが、行政が中心でやらないと、根本的には解決しないような気がする。倉敷市における高梁川の洪水は、延享年間(1770年頃)より大正時代まで18回を数える。川辺あたりより逆流して湖水となるパターンを繰り返してきたが、今は流路や河口の位置も変わり、この先は分からない。酒津あたりでUターンするほど鋭く右へ角度を変え、水路の幅も急に狭くなっている。航空写真で見ると、土手の幅も心もとないほど狭く、ここへ大量の水や物が押し寄せるとどうなるのか、しばし考え込むことがある。高梁川と小田川は一級河川で、国の管理である。

 

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